今回の最多出展作家?3回目の鈴木有紀子さん。
ろうそくの作家です。
静岡県富士市から出展くださいます。
Q
鈴木有紀子さんは、「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?
A
定番として作り続けている灯して造形を愉しむ灯り、
デザインを透けさせてコトバのないストーリーを楽しむような灯り、
これからの季節に愉しみたい仕掛けのある灯り、
を連れて行きます。
ろうそく。
私が渡航を重ねてきた北欧では、ろうそくのない暮らしは考えられません。
それは何も照度としての役割ではもちろんないのです。
ゆっくりと寛ぐとき、家族や友人と過ごす和やかな時間、
ろうそくを灯すことで、その時間が初めて色づいていくかのようです。
ちょうど花を飾る気持ちや、
おいしいものを食べたり飲んだりするような気持ちでしょうか。
どちらも消えものであります。
鈴木有紀子さんのろうそくは、灯すためのもの。
手作りろうそくは、灯していない状態のアート性を感じることが多いのですが、
鈴木さんのろうそくは、灯した時の美しを求めて作られています。
周りのろうと、芯のあたりのろう(wax)の
性質を変えることで溶ける速度を変えてみる。
そのことで浮かび上がる文様の影絵のような美しさ。
ゆらぐ炎の描き出す時間の豊かさを、ぜひ味わっていただきたいのです。
Q
鈴木有紀子さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?
A
いつでも「工房からの風」をとりまく『風』は、
大らかで和やかな風だと感じていますが、
出展の扉が開かれてから両当日、
再び工房に戻り静けさに身を置いた時、
その後ふと思い出す時、その時々で
『風』は、細やかに表情が変わる経験もしました。
みたび。
その『風』はやはり大きくて、
見守られているような-そんな『風』の表情を感じています。
鈴木さんのろうそくはお花のよう。
と先に記しましたが、贈り物としてもお花のようにお使いになるのをおすすめします。
お誕生日や新居のお祝いに祝花として。
また、お悔やみの時には白にうっすら文様の仕込まれたものを、
お忍びの品として。
上質なエッセンシャルオイルがかすかに香るのも、
鈴木さんのろうそくならではです。
Q
鈴木有紀子さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?
A
下の名前の「有紀子」は、富士宮浅間大社で
幾つか戴いた候補の中から両親が選んだそうです。
一説には、当時とても素敵な俳優さんにこの漢字の方がいたからと。
(ミーハー。)
・・・
工房名の『kaltio . (カルティオ)』は、
ろうそくの文化が生活に馴染んだ国(フィンランド)の言葉が
素敵だったので名づけました。
kaltio.=湧き水のでる場所
独学で始めたこのものづくり、
いつでも灯りとの対話(考え方)やデザインが湧き水のように滾々と
鮮度・純度をもって心や頭、そして手に湧き出ますように
そんな願いを込めています。
・・・
そうそう余談ですが、私の名前を戴いた浅間大社の敷地内に
「湧玉池(わくたまいけ)」という富士山の湧水が
滾々と湧くそれはきれいな水の場所があります。
時折、誘われるように足を運ぶのですが、
この質問が投げかけられて返答しながら、
そういうコト(繋がっているような気持ち)か、
と妙に腑に落ちた気がしました。
湧玉池とkaltio
運命的ですね。
こちらの画像は、先日galleryらふとでひらいた、
ろうそくの夕べのときのもの。
実際に灯したろうそくのある時間がどんなに心にあたたかいか、
ご体験いただきました。
工房からの風は日中ですのでなかなかそれを味わってはいただけませんが、
今回は少し光が差し込みにくい場所で実際に火を灯してもいただこうと思っています。
ニッケ鎮守の杜、galleryらふとの正面奥の方。
ぜひほっこり和んでみてくださいね。
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text sanae inagaki